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2017年アセアン・トレンドランキング ~マレーシア編~

マレーシア
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日本とマレーシアが外交関係を樹立して60周年にあたる2017年。2018年にはナジブ首相の任期満了や選挙の実施も控えています。マレー系、中華系、インド系などの民族で構成される多民族国家で、さまざまな文化や言語が交わります。SNSの接続時間は東南アジアトップクラスでSNSの利用が活発なマレーシアのトレンドを紹介いたします。

 

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 乗り捨て自由・自転車シェアライド「O Bike」

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2017年4月からスタートした自転車のシェアライド「O Bike」。主な利用者は車を持たない学生で、利用するには無料のアプリをダウンロードする必要がある。アプリでは自転車の場所がマップ上でわかる他、O BikeのFacebook上でも自転車の場所がわかる。デポジットとして一般はRM129(約3,470円)、学生の場合RM79(約2,120円)を支払う。自転車の乗る場合はQRコードでスキャンをしてロックを解除する仕組みで、価格は15分間RM1(約30円)。公共の場所であれば、どこでも乗り捨て可能で、借りた場所にわざわざ戻さなくても良い点も支持されている。自転車は14.5kgと22kgのものの2タイプ。アルミニウムで軽く、タイヤはチューブレスでパンクしにくい。12歳以上が利用可能で、すべての自転車は事故保険に加入している。今後は大学、住宅不動産開発業者、駅を運営する鉄道会社などにタウンプランとしてシェアライドの導入をアプローチしていくという。

トレンドの背景

車や歩行者との事故の恐れがあり危険ではないか、という議論もあるが、 特に駅からバス停まで、バス停からオフィスや学校まで、といったタクシーに乗るほどでもない距離に都合が良いと評判は上々だ。クアラルンプール市内では多くのO Bike利用者を見かけるようになった。旅行者の移動手段としても利用されている。UberやGrabなどの配車サービスも人気であるが、交通渋滞を気にせず移動できる、健康志向の人が増加しており、「運動になる」、「朝の通勤や通学に涼しい風が心地良いことを改めて知った」といった声もあり、今後シェアライドは都市部を中心に浸透していきそうだ。

 

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 ローカル素材を使用したフォトジェニックフード

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世界的にインスタ映えする個性的なメニューを出すカフェや飲食店が注目を集める傾向にあるが、マレーシアも同様だ。その中でもマレーシアの伝統料理、ナシレマ(ココナッツミルクで炊いた米に唐辛子やチリソース、干し魚などを混ぜる料理)をアレンジした、「ナシレマケーキ」や「ナシレマキットカット」が登場し、SNSを賑わしている。ナシレマキットカットには唐辛子や干し魚が使用されている。また、フルーツやフラワーなどのカラーをミックスした化学反応でカラーが変化するフォトジェニックなドリンクも人気だ。例えば台湾から上陸したドリンクスタンド「THE ALLEY」では「オーロラジュース」というマンゴージュースとバタフライピーという青い花のグラデーションがフォトジェニックなジュースを提供。

トレンドの背景

1日のSNS接続時間がフィリピンに次ぎ東南アジアで2番目に高いマレーシアではSNSは欠かせない存在。SNS映えする事象には関心が高いことが伺える。トレンドのカフェに行き、話題のスイーツやドリンクを注文して、FacebookやInstagramにアップしたいと考える人も多い。日本以上に飲食店は味だけでなく料理のヴィジュアルや店の内装に工夫を凝らす必要がある。

 

 子どもの食の知識を育む食育プログラム

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健康志向の家庭では、乳幼児の時から品質の良い食品を与えてきた。しかし子どもが大きくなり学校に行き始めると、買い食いをするようになってしまう。学校の食堂だけでなく、学校近辺では屋台で菓子や軽食が販売されており、身体にはあまり良くない添加物や油を使用した食べ物も少なくない。こうした食品を子ども自身が避けるようになるように、「親子向けの食育プログラム」が人気となりつつある。企業が運営しているのではなく、農園や寺院(特に仏教)、地域の集まりなどで食育アクティビティが開催されることが多い。良い食品の選択方法、家庭菜園のやり方、オーガニックについて、シンプルなエクササイズなどを学べる。

トレンドの背景

健康ブームも落ち着きを見せ、以前は高価だったオーガニック製品も現在では小さなスーパーマーケットでも取り扱いが増え、手頃な価格で購入可能だ。また、乾燥・加工オーガニック製品も欧米のみからではなく、台湾などのアジア各国からも輸入されるようになった。健康志向の人は増加し続けており、子どもが学校に通うようになっても、自ら良い食べ物を選択できるようになって欲しいと願う親と子がこのような食育プログラムに参加している。

 

 さまざまな調理が可能・最新スマート調理器

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さまざまな調理が1台でできるドイツのVorwerk社の万能調理器「Thermomix」は、刻む、砕く、煮る、蒸す、炒め、捏ね、泡立て、計量、タイマーなど12種類以上の機能を搭載。秤が内臓されており、レシピや工程をデジタルディスプレイで見ることができる。キッチンを汚すことなく短い時間で調理ができるスマート調理器として人気上昇中だ。価格はRM6,488(約17万4,500円)と高額だが、 1台あれば他のキッチン家電やキッチンアイテムを準備する必要もなく、特に料理をする時間が充分にとれない共働きの家庭で重宝されている。

トレンドの背景

健康志向の高まりにより、自炊する人や自炊をしたいと考える人も増えつつある。本商品は料理の知識がなくともディスプレイにレシピが表示され、適切な材料や分量がわかる。また、油やココナッツミルクなどの脂肪分の多い材料を使用する際も、最適な温度とタイミングで投入し、どの程度の時間で調理をするかでカロリーも異なるという。そのような面倒な時間のチェックも同商品が行ってくれるとあり、支持されている。調理器を作動させて、子どもを学校に迎えに行き、家に戻ってきたら料理ができている便利さも人気の要因。

 

 オーガニックのお祈り用衣服&生理用品

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天然由来で身体に優しく、アレルギー体質でも問題なく着用できる衣服が注目されている。これまで、高価なテレコン(お祈り用の衣服)はシルクの布に、金や銀刺繍を施した絢爛豪華なものが支持されてきた。しかし最近では、富裕層向けにオーガニックコットン、植物染めなどの天然由来の素材を使用したお祈り用衣服が注目されている。代表的なブランドとしては「Hana . Hambia」が有名だ。また、生理用品もオーガニックのものが支持されるようになってきている。1年中高温多湿の環境で市販の使い捨て生理用品を着用し続けているとかぶれやすくなってしまう。そのような中、「Athena」というブランドが可愛らしいデザインでオーガニックコットンを使用した布の生理用品を販売し、注目を集めている。

トレンドの背景

マレーシア各地で次々にオープンするオーガニック専門店では、食品だけでなく寝具、衣服、化粧品、アロマオイルなどのオーガニック製品を見かける。オーガニック専門店を利用することで天然由来の製品がいかに心地良いか、サスティナビリティにもつながるかということを知り、選択するようになっている。健康志向やアレルギーの人が増加しており、食べ物だけでなく身につけるものもより自然で健康なものが求められるようになってきている。新生児用の衣服もオーガニック製品を好む、という家庭も少なくない。


■生活習慣病大国で高まり続ける健康志向

シェアライド、食育プログラム、スマート調理器、オーガニックアイテムと、2位を除く4トピックが健康に結びついていると言える。油やココナッツミルクなどを使う料理が多いため、糖尿病をはじめとする生活習慣病患者や肥満と診断される国民が多い。そのような中、エクササイズや食の知識、自炊のための調理器、オーガニックなど健康的な事象は注目を集める傾向にある。

■SNSを意識したカフェ&メニュー

イスラム教徒が多く、男女ともにアルコールではなくカフェでお茶やコーヒーとともに甘いスイーツをつまみながらおしゃべりに花を咲かせる文化から、カフェからトレンドが生まれる傾向にある。2015年のランキングではハイブリッドスイーツがランクインしたが、2017年はSNS、特にインスタ映えを意識したメニューや店に注目が集まったと言える。

■宗教の考えをベースに生まれるトレンドも

3位の食育プログラムは仏教寺院などが展開する例も多い。また、仏教を信仰する人の中には世界的なベジ・ヴィーガンブーム以前より菜食を実践する人も少なくない。そのような中、マレーシアでベジタリアン及びヴィーガンレストランが増加しており、もとより受け入れやすい土壌があったと考えられる。さらに5位のオーガニックアイテムはお祈り用の衣服ということで、ムスリムの文化から生まれたトレンドだ。2016年にはユニクロでヒジャブが売られるなど、毎年ムスリム文化からトレンドが誕生している。

 

TNCアジアトレンドラボでは、こうした動きを2018年も引き続きウォッチしてまいります。他国のトレンドランキングの更新もどうぞお楽しみに。
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■調査概要調査方法:TNCアジアトレンドラボ、現地ボードメンバーを中心としたグループインタビュー、およびライフスタイル・リサーチャーによる定性調査

調査時期:2017年11月

調査対象者:クアラルンプールに5年以上居住する男女、かつアッパーミドル以上の生活者、10代後半~20代前半の、トレンドに敏感な層

調査実施機関:株式会社TNC(http://www.tenace.co.jp/)および海外協力会社


■株式会社TNC

各国の高感度層で構成される現地ボードメンバーと共にグループインタビューやリサーチを定期的に行い、ウェブサイトで情報発信や分析を行う『TNCアジアトレンドラボ』を2015年8月よりサービス開始。また70カ国100地域在住500人の日本人女性ネットワーク『ライフスタイル・リサーチャー』を主軸とした海外リサーチ、マーケティング、PR業務を行う会社です。現地に精通した日本人女性が、その国に長く暮らさないとわからない文化や、数字に潜む意味をひもとき、日本人が未だ知らない斬新なモノやコトを探すインバウンズ、日本企業が進出する際のベースとなるリサーチ・アウトバウンズや、現地の人たちの暮らしぶりや生活習慣のレポートから、海外におけるヒント探し、市場レポートなど幅広く対応します。また、レポートに基づいた視察のアテンドも行っております。


■問い合わせ先

株式会社TNC TNCアジアトレンドラボ編集部 木下・濱野

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