カフェチェーンの白酒風味ラテ「醤香拿鉄」
映えるパッケージが20~30代男女に人気
2023年9月、カフェチェーン「Luckin coffee」が白酒風味のラテ「醤香拿鉄」(19元)を発売。アルコール度数53度の貴州茅台酒を使ったもので、ラテ自体のアルコール度数は0.5度。未成年や妊婦、ドライバーは購入できない。発売後は、茅台酒のパッケージを思わせる広告デザインのインパクトから一気に話題となり、一時供給が停止されるほどの人気に。発売初日だけで542万杯(売り上げ約1億元)売り上げ、その後レギュラーの人気メニューとして定着した。購入層は20~30代男女で、白酒の風味とラテが合う、アイデアがおもしろい、カップ(発売当時は茅台酒と同じデザインだった)が映える、意外なコラボは興味を惹かれるなどの口コミで話題になった。また、紹興酒の産地・紹興市では、同じく伝統酒を若者向けのドリンクに取り入れた黄酒(紹興酒)ミルクティーが人気。こちらは醤香拿鉄よりも早くから名物として人気があった。観光地でテイクアウトできるものやカフェで出しているものなど、さまざまな店舗で扱っている。
伝統酒とカフェの異業種コラボで
若者が伝統酒を飲むきっかけに!?
中国ではZ世代のアルコール離れが話題になっていた。白酒を乾杯しながら飲む中国の伝統的な宴会スタイルも中高年以上の文化となっており、伝統酒業界は今後の先細りが懸念されていた。そもそも白酒は度数が高すぎて飲めないという若者も多かった。そんな中、数年前から「Glico」のポッキーやジェラートショップのアイスなど、異業種のメーカーやショップとコラボする伝統酒メーカーが増加。白酒ラテは、白酒を飲む層とは対極の層が利用しているカフェとのコラボということで話題となり、試してみようと考える人が殺到した。垢抜けない昔ながらの白酒のパッケージをそのままモチーフにした広告デザインも、レトロブームの流れに乗るものだった。若者の白酒の消費量は、2021年以降に5%ほど伸びているというデータもある。