様々な業態に広がる無人型店舗
懸念点であるセキュリティ面も向上
韓国の無人ラーメン屋はよく知られているが、無人店舗の業態は今、様々な領域に広がっている。アイスクリームストアから始まった無人店舗のスタイルは、当初「無人」によるぎこちなさと不便さがあったものの、いつの間にか人々の日常に溶け込んだ。無人カフェ「THE LITER24」では、コーヒーのみならず炭酸やシェイク、季節商品まで幅広い選択肢があり、商品をタッチパネルで選んだら無人決済機で支払い、出来上がりを待つ。そうした無人カフェも韓国都市部では広がっていっている。また、カフェ業態以外にも子ども達には文房具(駄菓子もあり)の無人店舗も人気だ。選んだ商品をバーコードスキャンし、プリペイドカード(または限度額があるクレジットカード)で支払う作業が放課後の楽しみの1つとなっている。こうした無人店舗は菓子店やラーメン店、ミールキットや惣菜店、デザート店、カフェなど飲食・食料品店を中心に増えているが、花屋や読書室、パーティールーム、成人用品店や写真館などさらなる領域に拡大している。さらにキッズカフェのような空間賃貸業や卓球場やビリヤード場、テ ニスコートなどの運動施設でも無人化が進み、早朝から深夜までのオープンも可能になっている。こうした無人店舗の懸念点でもあるセキュリティの脆弱さには、警察や警備業者による巡察の強化や視野を確保するようなインテリアや精巧なCCTVの設置、またクレジットカードやQRコードの認証で出入りが許可されるシステムの導入などで犯罪抑止の対策を講じている。
ユーザー側の利便性だけでなく、
経営側のメリットも高い無人店舗
無人店舗は、コロナ禍で急速に広まった非対面文化から始まった。 消費者は余計な接客がないことや気兼ねなくゆっくりと商品を選べること、24時間いつでも利用できるという点において有人店舗より利用しやすいと感じている。特別な技術がなくても事業者登録さえすれば比較的簡単に創業でき、インテリアなどの創業費用も相対的に少なくて済み、人件費もほとんどかからないことから副業として始める人も多い。非対面を望む社会や環境が無人店舗の拡大を後押しし、キオスク(無人決済機)のような情報技術の発達は無人店舗の成長を導いた。さらに、不況や就職難を背景に小規模創業や副業を通じて所得を上げようとする人々の需要に合致し、無人店舗は今後も着実に増える見通しだ。そうした点に着目し、運営ノウハウなど無人店舗経営をサポートする会社も多くできている。