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2015年アセアン・トレンドランキング ~マレーシア編~

マレーシア
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マレー系、中華系、インド系などさまざまな人種、宗教の国民を擁する多民族国家・マレーシア。2015年は世界144ヵ国中、経済力が18位に上昇(2014年は20位、出典: World Economic Forum)、ハラル市場のハブとしても注目され、年々その影響力を高めています。LCCの雄、エアアジアを利用しての訪日観光客も年々増えている、マレーシアのトレンドランキングをご紹介します。

 

 

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ヘイズの影響で高機能空気清浄機の需要高まる

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ヘイズとは主にインドネシアにおける、焼畑農業などの煙や排気ガスの微粒子が原因となって起こる大気汚染のこと。このヘイズの影響により、2015年は空気清浄機が特需を受けた。ハウスダスト、湿気、花粉を吸い取り、空気が悪くなった際などに作動を開始する感知システムがある機種が人気となっている。マレーシアは日本に比べ部屋が広く、広範囲をカバーできるモデルが好まれている。パナソニックや、シャープ、日立といった日系メーカーの商品が主力となっている。

トレンドの背景

毎年、マレーシア、シンガポール、インドネシアではヘイズの影響を受けるが、2015年はインドネシア・スマトラの森林火災がなかなか治まらなかったため、マレーシアやシンガポールでは「ヘイズ最悪化」、「不健康レベル」と発表される状態の日々が続いた。学校は2ヵ月のうちに4日間の休校となるほどであった。今後も深刻なヘイズは数年続くと考えられている。2015年は屋外活動を極力控えるようにと、通達があるほど大気汚染が激しく、家の中を快適にするための家電製品への需要が高まった。

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ムスリム向け・戒律に準ずるハラル婚活サービスが誕生

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マレー系専用のムスリム向け、ハラル婚活サービスが誕生し、利用者を増やしている。「HALAL Speed Dating」の会員登録料は45RM(約1,250円)、年齢は25〜35才がメインとなっている。イスラムの戒律に反することなく、真剣な出会いから結婚までのマッチングを行っており、将来のパートナーになり得る異性と出会えると好評だ。HALAL Speed Datingは、定期的にお見合いイベントを開催し、イベント後は気に入った相手を選び、プライバシーを尊重しつつ、結婚までの道のりを進めていく。インターネット上のマッチングサイト「BestMuslim.com」や、ムスリム以外も利用できる「MalaysianCupid.com」などのサイトもある。

トレンドの背景

イスラム教には婚前の男女交際に、さまざまな戒律がある。また、仕事で忙しい若者はなかなか出会いの機会がないため、ハラル対応の安心して利用できるマッチングサービスが誕生した。マッチングサービス会社が主催するお見合いイベントは、女性の保護者が同席して見守るのはお国柄。会員には、初婚希望者のみではなく、第二夫人を探している男性、または第二夫人になることを希望している女性、さらには夫の第二夫人を探す女性もいる。イベントでは、参加している男女が5分おきに入れ替わって会話を交わす。保護者が同席しているため安心でき、終了後に身内と話し合える点が女性に好まれる要因となっている。

ファッションアイテムとして定着する電子たばこ「VAPE」

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電子たばこ「VAPE」が、20~40代のマレー系男性を中心に人気となっている。フレーバーをセットで持ち歩くこともファッションの一部になり、コーヒーショップなどで談笑している男性グループには、必ずと言って良いほどの割合で「VAPE」をふかしている人がいる。中東発祥の水たばこ(アラビア語で「シシャ」)のように、ストロベリー、チョコレート、バニラなど、さまざまなフレーバーを楽しむことができるため、「ポータブル・シシャ」とも呼ばれており、マーケットで手軽に購入することができる。価格は、200RM(約6,000円)前後、ナイトマーケットなどでは50RM(約1,500円)前後で売られている。フレーバーリキッドは15~40RM(約450~1,200円)。

トレンドの背景

マレーシアでは水たばこ「シシャ」を、カフェで楽しむことが一般的であり、昼間から、または夜遅くまで男性が水たばこを吸う姿をよく見かける。VAPEグッズを販売するショップや、VAPEカフェなども増えてきている。VAPEは、デザインやカラーバリエーション、アクセサリーなどが豊富に揃い、フレーバーも数種を組み合わせ、自分好みの味にカスタマイズするなど、スマートフォンのようなガジェットと同様にファッションとしても定着している。シシャと同様に数人で回しながら楽しんでいる人もいる。

Uber、MYTEKSI、GrabCar…多種多様な配車アプリ

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タクシー配車アプリ「MYTEKSI」(タクシー会社と提携)や「Uber」などの利用者が増えている。また、自家用車を使用した個人タクシーサービス「Grabcar」などが話題となった。副業として、または学生やフリーターのアルバイトとして、空き時間に働けるため、ドライバーが増えているが、自家用車を利用したこうしたサービスは、クルマが基準に適しているか審査や面接をクリアしなければならない。Grabcarは、通常のタクシー運賃より3割安いため、利用者数を急速に伸ばしている。

トレンドの背景

今までマレーシアではランチタイム、金曜日の礼拝、渋滞時、大雨が降った時などはなかなかタクシーが捕まらない状況だった。しかし、配車アプリを利用すれば、「いつ」「どこから乗車するか」などを指定し、迎車のドライバーを追跡することも可能である。さらに、乗車している間も、安全のために乗車状況をリアルタイムでシェアできる。そのため、女性の1人乗車などにおける不安も解消へ向かっている。また、ドライバー側の目線でみると、自分の都合のつく時間に仕事ができるため、若者の就業機会として注目を集めている。

オリジナルのハイブリッドスイーツが続々登場

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カップケーキやドーナツ、ワッフル、ソフトプレッツェルなどがここ数年のトレンドスイーツだったが、最近ではクロワッサンとマフィン、ドーナツとクロワッサン(クロナッツ)、ホットケーキとスフレといったそれぞれのいいとこ取りをミックスしたハイブリッドスイーツが人気で各カフェがオリジナルメニューを提供し話題となっている。 Artisan Roast Coffeeなどのサードウェイブ系のカフェでもハイブリッドスイーツを提供し始めている。

トレンドの背景

ハイブリッドスイーツは20RM(約600円)前後で、コーヒーと一緒に注文すると30RM(約900円)になり、現地の物価や平均給与と比較すると、決して安くはないが、目新しいスイーツを試してみたいという人に支持されている。また、ムスリムが多いマレーシアでは、男性も甘いコーヒーやスイーツを好んで食べる傾向にあるため、話題のスイーツが受け入れられやすい。


■ハラルのハブとして

 マレーシアの影響力が近隣国にも波及

世界最大のハラル見本市「MIHAS」が開催されるマレーシアは、ハラルのハブとして、インドネシアやタイをはじめとする近隣国のムスリムへの影響力を増している。デザインやフレーバーのミックスなど、ガジェット的に楽しめる電子たばこ「VAPE」は、インドネシアにも波及をしている。また、今回ランクインしたハラル婚活サービスやハイブリッドスイーツなど、マレーシア発、または経由することで近隣国でもトレンドになり得るトピックが上がってきた。マレーシアは、ハラルのニューカルチャー発信地として注目を集めている。

■スイーツ&カフェ文化から生まれるトレンド

お酒を飲まないムスリムは、代わりにカフェでお茶やスイーツ、水たばこなどを楽しみながら仲間との会話に花を咲かせる。No3の電子たばこ「VAPE」の流行は、根強いカフェ文化にフィットした商品といえる。また、男性も甘いコーヒーやスイーツを好んで食べる傾向にあるため、No5にランクインしたマレーシア独自のハイブリッドスイーツも誕生。サードウェイブコーヒーを出すカフェも増えており、新たなスイーツをはじめ、カフェを発端としたトレンドに2016年も目が離せない。

■毎年発生するヘイズ対策&

 自転車やウェルネス・ツーリズムなどエコに注目

今後も引き続き深刻なヘイズの発生が予想されるマレーシアでは、ヘイズ対策のための空気清浄機の需要は今後も高いと思われる。健康意識や環境意識は年々高まっており、温室効果ガス排出削減のために車の乗り入れを禁止し、自転車で世界遺産を巡るジョージタウンの試みや、オーガニック農園でのウェルネス・ツーリズムなど、新しいサービスや商品が生まれると思われる。

 

TNCアジアトレンドラボでは、こうした動きを2016年も引き続きウォッチしてまいります。他国のトレンドランキングの更新もどうぞお楽しみに。

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■調査概要調査方法:TNCアジアトレンドラボ、現地ボードメンバーを中心としたグループインタビュー、およびライフスタイル・リサーチャーによる定性調査

調査時期:2015年11月

調査対象者:クアラルンプールに5年以上居住する男女、かつアッパーミドル以上の生活者、10代後半~20代前半の、トレンドに敏感な層

調査実施機関:株式会社TNC(http://www.tenace.co.jp/)および海外協力会社


■株式会社TNC

各国の高感度層で構成される現地ボードメンバーと共にグループインタビューやリサーチを定期的に行い、ウェブサイトで情報発信や分析を行う『TNCアジアトレンドラボ』を2015年8月よりサービス開始。また70カ国100地域在住500人の日本人女性ネットワーク『ライフスタイル・リサーチャー』を主軸とした海外リサーチ、マーケティング、PR業務を行う会社です。現地に精通した日本人女性が、その国に長く暮らさないとわからない文化や、数字に潜む意味をひもとき、日本人が未だ知らない斬新なモノやコトを探すインバウンズ、日本企業が進出する際のベースとなるリサーチ・アウトバウンズや、現地の人たちの暮らしぶりや生活習慣のレポートから、海外におけるヒント探し、市場レポートなど幅広く対応します。また、レポートに基づいた視察のアテンドも行っております。


■問い合わせ先

株式会社TNC TNCアジアトレンドラボ編集部 木下・濱野

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