各人の自炊レベルに合わせて
頼むことができる3タイプの食材キットも
2020年4月1日にベトナムで発令された全国隔離措置に伴う飲食店の休業措置により、若者を中心に自炊のムーブメントが生まれている。人気ニュースサイト「kenh14」では、「5万VND(約250円)で3人分の料理をつくれるか?」をテーマに、低コストのメニューを紹介している。また、ノンオイルフライヤー調理器の売り上げが増加している。簡単なベトナムの家庭料理といえば冷凍食品の揚げ春巻きが定番であるが、健康への配慮や油の節約から、ノンオイルフライヤーに注目が集まったと思われる。
月間400万アクセスを集める人気レシピアプリ「Cooky.vn」は、4月に大手グルメサイト「Foody.vn」創設者Đặng Hoàng Minh氏から100万ドル相当といわれる資金調達に成功した。調理済みの料理、すぐ調理に取り掛かることが可能なカット済み食材のキット、調理前の生の食材といった3タイプの食材の宅配事業「Cooky Market」を展開し、中食と内食という新市場を開拓していく。ベトナムのスーパーには食材が一式パックに詰められて売られていたり、食材配達サービスもすでに行われていたりするが、レシピサイトが行うことで、一気に中食のバラエティが広がりそうだ。
デリバリー配送料がかさみ
自炊に移行する人が増えた
ベトナムは外食文化が根強く、都市部でも3万VND(約150円)でおいしいフォーなどが食べられる。そのため、よほど生活費を切り詰めていない限り、若者を中心とした単身者が自炊する習慣は珍しく、結婚を機に母親から教わるという女性の話をよく耳にする。そんな中、COVID-19感染拡大防止措置として飲食店店舗営業停止に伴いデリバリーが拡大したが、配送料などで飲食費がかさんだことなどにより、自炊せざるを得ない状況が生まれた。ある家庭では、「常に家にいるので、お菓子や、手のかかるベトナム式お好み焼きのバインセオをつくった」という声もある。COVID-19終息後、中食や自炊ブームにどのような動きがみられるか興味深い。