旅行やアウトドアなどレジャー以外にも
レストランの雰囲気などに使用されるワード
中国では、”リラックスして何も考えずに過ごすことを指す「松馳感」”と、”かまどの煙の気配(その村の生活感が漂ってくること)を指す「煙火気」”の2つの言葉が新たな意味を持ち、2023年のトレンドワードになった。2022年頃から一部の若い層がSNSで使い始め、2023年に定着した。松馳感は「意図やコンセプトを考えさせない(見るだけでほっとする)」ものという意味で、 煙火気は「郷愁(懐かしさ、親しみやすさ)」などの意味で使われるようになった。どちらもレジャー(旅行・アウトドア)や、レストランの雰囲気などに使われることが多い。陶磁器などの器、陶磁器の街である景徳鎮への旅行、カフェ(コーヒー)より中国茶を楽しむ茶館など、中国的解釈の「わび・さび」ともいえることへの関心が高まっている。
ゼロコロナ政策が終了した中国
リラックスを求めるレジャー需要が増加
仕事の忙しさや雇用不安からストレスを抱える人が増加している。2022年末にゼロコロナ政策が終了し、自由に旅行ができるようになると、リラックスを求める人が増えてレジャーの需要が増した。また、コロナ禍以前の京都旅行をきっかけに、抹茶、茶道、日本の器、朽ちゆくものを愛でる文化など、侘び寂びの概念に共感する人もいた。テーマやコンセプトを提示されることを、押し付けがましいと感じる若者も多かったことから、松馳感と煙火気の概念が新鮮に映った。コロナ禍以降にブームとなったアウトドアにマッチする言葉だったことも、定着した大きな理由となっている。