販売先の確保や廃棄される水産物を削減
SDGs達成に貢献する企業としても注目
2018年8月に創業した、漁師と販売者・卸業者を結ぶプラットフォーム「Fishlog」が、水産物のフードロス問題と漁師の生活向上に取り組み、SDGsの活動としても注目されている。インドネシアでは、これまで多くの漁師は水揚げした水産物の販売先を自分では持っておらず、条件の悪い仲介会社に販売するしかなく、売れ残ったものを多く廃棄している状態だった。このような状況の中、漁師は「Fishlog」を通して多くのバイヤーに販売することができ、バイヤーは鮮度の良い水産物を購入することができる。2022年3月時点では、マイナス20度で保管するのに適した水産物のみ取り扱っているが、今後は取り扱う水産物の種類を増やして、バイヤーのニーズに対応していく予定。「Fishlog」のシステムは、漁師が水揚げ後に連絡し、最寄りの冷蔵庫がある保管場所を教えてもらい、水産物を持ち込むことができ、「Fishlog」は冷蔵庫のレンタルや水産物買取のサービスを提供する仕組みになっている。
漁協協同組合やコールドチェーンなど
課題が残るインドネシアの漁業事情
海に囲まれた島国のインドネシアでは、水産物に恵まれ、美味しい魚介類を食べらるイメージがあるが、首都ジャカルタのスーパーでは鮮度の良い魚介類は手に入りにくい。また、「SEAFDEC(東南アジア漁業開発センタ-)」によると、インドネシアでは漁獲量の約40%が廃棄されているという。この要因は漁師・漁業者とバイヤーの繋がりが少ないこと(漁業協同組合がない)、鮮度を保てるコールドチェーンが整っていないことの2点が挙げられる。インドネシアでは、冷凍・冷蔵環境がない状態で水産物の鮮度を保つことが難しく、流通過程の問題が大きかった。漁師の生活が苦しいのは、インドネシアの漁業に関する法的な問題も関係している。貧しい漁業者を守るという名目で、金属製の船を漁業に使うことを禁止するなどの規制があり、設備の不十分な木造の船で漁をしており、漁獲量が限られてしまい、安全面の問題もある。