在庫品や売れ残りの食品を安く購入でき
ホテルのブッフェをイートインで利用可能
インドネシアの深刻なフードロスを解決するために2019年に立ち上げられたスタートアップ企業「Surplus Indonesia」。提供するシステムは、出店側がSurplusのアプリに余った在庫品や売れ残り品を出品することで、購入希望者は販売価格の50%オフで商品を購入することができる。購入はGo-payやOVOなどのEマネーで支払い、商品の受け取り方法としては、店舗受取りかGo-jekやGrabなどのデリバリーサービスを利用することができる。ビジネスモデルとして、出店側は収益の約10%を、購入側はアプリ使用料として約2,000ルピアをSurplusに支払う。Surplusは飲食店だけでなくホテルとも提携し、ブッフェをテイクアウトまたはイートインで安く提供している。
また、個人でも出店が可能で、Instagramやインドネシア大手マーケットプレイス「Tokopedia」で食品販売をしている人たちがSurplusを利用していることも多く、現在(2023年6月時点)加盟店舗は3,000店舗ほど(個人含む)。口コミによって広がり、2019年から2023年までにSurplusの売り上げは900%増加で、サービス提供エリアはジャカルタ、バンドン、ジョグジャカルタ、スラバヤ、バリに限られているが、今後はインドネシア全土に展開していく予定。Surplusは、日本の食品ロス削減アプリ「TABETE」を運営する株式会社コークッキングとも連携しており、フードロスの削減解決が国境を超えて展開される日も近そうだ。
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食品ロスで世界ワースト4位のインドネシア
食品廃棄の意識を高めることが重要
インドネシアのフードロスは世界ワースト4位であり、世界でも食品廃棄量が多い国の一つ。インドネシアでは一人あたり年間最大184キロ、1日あたり約500グラムの食料を捨てている計算になり、これは最大1億2,500万人もの食べ物を必要とする人々を救える量を無駄にしていることを意味する。インドネシアのフードロスの原因は、流通時の食品管理が不十分(野菜の管理が最も非効率)であることや、家庭での食料の適切な保存方法の知識の不足、食品購入時によりきれいな形状のものを好む傾向、少ないよりも多い方が良いという消費者の傾向による食品廃棄の意識の低さなどが挙げられる。フードロスの削減は環境面だけでなく、経済的なメリットもあることを消費者、農家、ホテル、レストラン、スーパーのオーナーや従業員、消費者にも啓発していく必要がある状況だ。