「駁二藝術特區」・「新濱・駅前」
古い建物が人気の観光地に
台湾では、廃墟となった工場や建物、学校などを再利用するプロジェクトが官民一体となって行われている。歴史、文化を保存し継承していくだけでなく、できるだけ昔のままの建物を生かす取り組みは、台北などの他の都市でも行われているが、特に港町の高雄で盛んだ。港の古い倉庫をアートスペースとして活用した「駁二藝術特區」は今や、高雄で人気の観光地となっている。
2017年からは「興濱計画」として、日本統治時代に使用されていた古い建物などをリノベーションする活動が行われている。2020年にオープンした「新濱・駅前」もその一つだ。日本統治時代に舊三和銀行だった場所を、リモートワークの場としても活用できるリノベカフェとした。
このプロジェクトを積極的に推進しているのは、「三望文化創意股份有限公司」だ。現在は「新濱・駅前」の隣にある「貿易商大樓」の4階部分を改修中である。 「貿易商大樓」は、「春田館」という高級旅館だった場所で、現在は1階、2階で特色あるお土産や台湾のアーティストの茶器、工芸品などを販売、3階の喫茶「春田館」(2020年10月現在試営業中)では、台湾茶などが味わえる。今後は昔の建物をリノベーションしたレストラン、週末ワークショップやクラフト作品のマーケットの開催なども計画中。「哈瑪星」の町の復興に期待が高まっている。
かつて栄えていた旧市街を
復興させる「興濱計画」
高雄の「哈瑪星」と呼ばれる地域は、日本統治時代に埋立地を区画整理した場所で、インフラも整備され、最も栄えていた場所であったが、商業の中心が東に移動するに従い、人口も次第に減少していった。 「哈瑪星」とは、日本語の「浜線」に由来する地名であるが、「浜線」とは、もとは日本統治時代に造られた港の貨物を輸送するための鉄道のことである。「哈瑪星」エリアには時代に取り残され、そのまま廃墟となった場所が多い。高雄市政府文化局の「興濱計画」は、かつて栄えていた旧市街を復興させることを目的に、2017年からワークステーションを設立し、プロジェクトを始動した。